Photonics
Technology

事業目的

高品位フォトンビームによる先進的な計測技術及び加工技術を確立することにより、エネルギー利用の効率、製品の生産性及び信頼性を飛躍的に高めることを目的として研究開発を行いました。

事業概要

平成9(1997)年度から5年間にわたって、MSTCに付置されたフォトンセンター(RIPE, R&D Institute for Photonics Engineering)が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託事業として、経済産業省(旧通商産業省工業技術院)の産業科学技術研究開発制度のプロジェクトの一つである「フォトン計測・加工技術」プロジェクトを実施しました。

このプロジェクトは、フォトンの発生、フォトンを用いた加工、計測の3技術分野の中から、重点的に行なうべき6つの研究テーマを取り上げており、その中には、当時の技術レベルから見ると極めて高い数値を含む挑戦的な最終目標が定められていました。

  • ・フォトン応用加工技術分野 / マクロ加工技術 / ミクロ加工技術
  • ・フォトン応用計測技術分野 / in-situ状態計測技術 / 非破壊組成計測技術
  • ・フォトン発生技術分野 / 高出力完全固体化レーザー技術 / 高集光完全固体化レーザー技術

フォトンセンターでは、会員となった13企業と1大学が国立研究所と連携を取り、大学等の協力を得て共同研究を行いました。またフォトンセンターに設置された技術委員会および総合調査委員会で各テーマの進捗状況を把握し、国内外における関連技術動向調査を実施して、研究開発の促進に努めました。研究は順調に進捗して、5年後の平成13(2001)年度には、世界初・世界トップレベルの成果が数多く得られ、ほぼすべてのテーマで最終目標を達成することができました。

研究開発内容と達成目標

フォトン応用加工技術分野

研究テーマ 研究開発内容 達成目標
マクロ加工技術 溶接現象のインラインプロセスモニタリング技術や予測制御技術を適用した高信頼性レーザー溶接技術を開発する。 板厚30mmの鉄鋼板及び板厚20mmのアルミ合金板を高アスペクト比で、母材と同等以上の強度を持って毎分1m以上の速度でレーザー溶接する技術を確立する。
ミクロ加工技術 レーザーによる高温高圧場を用いて、高純度で均一な粒径・構造の超微粒子を作製し、これを集積・堆積して新たな量子レベルの機能を有する微小構造体を作製する技術を開発する。 1~50nmの任意の粒径で粒径分布の幾何標準偏差が1.2以下(半数以上の粒子が平均粒径のプラマイ約12%の粒径範囲に含まれる分布)である高純度な超微粒子を作製するとともに、これを用いて量子レベルの機能を有する微小機能構造体を形成する技術を確立する。

フォトン応用計測技術分野

研究テーマ 研究開発内容 達成目標
in-situ状態計測技術 赤外域から真空紫外域までのフォトンを利用して、気体や微粒子の成分及び濃度、並びに温度を高感度で測定するin-situ計測技術を開発する。 赤外域における光源波長走査型吸収分光により気体の濃度を1ppb以上の感度で計測する技術、及び真空紫外領域までの発光分光により大きさ30nm以下の粒子の成分元素の含有率を10%以上の精度で測定する技術を確立する。また精密温度計測用に1mW/ナノ平方メートル以下の微弱光量でも10マイクロメートル秒の高速応答可能な素子による波面保証技術を確立する。
非破壊組成計測技術 小型高輝度短波長フォトンを用いて、物体の表面近傍の組成や状態、並びに物体内部の欠陥を高精度で観測する非破壊計測技術を開発する。 固体表面近傍の計測に関しては、光電子分光測定による空間分解能30nm以上の不純物検出技術、及び短波長光検出によるマイクロメートルレベルの微小領域での検出感度1ppb以上の不純物検出技術、並びに固体内部の計測に関しては、空間分解能1マイクロメートル以上の欠陥測定が可能な技術を確立する。

フォトン発生技術分野

研究テーマ 研究開発内容 達成目標
高出力完全固体化レーザー技術 機械加工プロセスのツールとなる高出力高効率発振のレーザーダイオード励起完全固体化レーザー技術を開発する。 レーザーヘッドの堆積が0.05立方メートル以下の装置で、平均出力10kW以上、発振効率20%以上の特性を持つ高出力完全固体化レーザーの発生技術を確立する。
高集光完全固体化レーザー技術 精密・高精度加工のツールとなる、取扱い性に優れた、高集光完全固体化レーザー技術を開発する。 加工対象物上での集光径50マイクロメートル以下、平均出力1kW以上、発振効率20%以上の特性を持つ小型完全固体化レーザーの発生技術を確立する。

研究開発体制図