MSTCは、ロボット、ファクトリー・オートメーション(FA)及びその他製造科学技術に関する基盤技術の研究開発並びに国際共同研究の推進等を図ることにより、ロボット、FA及びその他製造科学技術の発展並びに国際的なロボット、FA技術及びその他製造科学技術のフロンティアの拡大に貢献し、ひいては我が国及び国際経済社会の発展に寄与することを目的に活動を行っています。
2021年の国内経済は、新型コロナウイルスの断続的な感染拡大と行動制限措置の長期化により消費が低迷し、一進一退の状況が続き、他の先進国と比して経済の回復ペースが遅れた。2022年は経済回復の低迷を背景に国内需要の小幅な増加が予想され、工作機械は自動車産業を中心としたユーザ産業の業績回復に伴う投資増により需要大幅拡大の継続が見込まれている。この様な状況下において、我が国の付加価値創造の源泉の大きな部分を担う製造業に対する期待は引き続き大きいものがある。
近年、我が国製造業のサプライチェーンのリスクとなる不確実性が高まる一方で、世界各国でカーボンニュートラルやデジタルトランスフォーメーション(DX)の取組が急速に進展している。経済産業省「2021年版ものづくり白書」では、製造業のニューノーマルは、レジリエンス・グリーン・デジタルを主軸に展開されるとしている。これに関連する製品などの品質向上については、国際競争力強化に直結する技術開発やサプライチェーン構築・強靭化を通じた基盤の構築が求められている。
これらの諸課題に対応すべく、当財団の事業には、政府資金等を財源とする委託調査研究事業、民間資金及び当財団自主活動による調査研究関連事業、並びに民間資金を中心とした標準化関連事業の3領域がある。なお、標準化に関しては製造に関するデジタルデータの流通・活用や、製造ラインにおける省エネ・効率化のためのデジタル検証などを推進するほか、当財団はスマートマニュファクチャリングを含めて、産業オートメーションに関するISO TC184の国内審議団体である。
2022年度は、これら各領域での事業を継続・発展させ、各事業連携により成果の拡大・普及を図り、引き続きロボット、ファクトリー・オートメーション等における製造科学技術の調査研究や標準化活動に取組む。また、昨年度に続いて、自主調査研究活動の成果を外部資金の獲得に繋げることができたが、同様に賛助会員等の協力を得ながら「ものづくり」に関連する課題の発掘とプロジェクト化を推進し、財団活動の活性化に努める。